あとがき

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「私になりたい」を読んでくださって、ありがとうございました。  コンテストの応募用にあげたものは、時間がなくてラスト二章がスカスカになっていたため、こちらはかなり加筆をさせていただきました。あちらのブックをお読みになった方は、もしお時間が許すようであれば、6、7章を読み直してくださると嬉しいなと思います。たいして違わないと言われてしまうかもですが💦  私には現在、不登校の息子がいて、オンラインのネットスクールに入っています。この話はフィクションであり、息子のことを書いたわけではないのですが、普段息子から聞く、ネットスクールの様子などは参考にしています。  流行りもあるのかもしれませんが、息子の周りにいる男の子たちは、俺だけでなく、(わたし)という一人称を使っていることが多いようです。この私は女性がつかう私ではなく、単純にIの意味での私のようですが。  息子の友人の中では女の子のほうが、名前を男っぽく変えたり、女の子だと思われたくないという発言をすることが多いようで、我が家でも頻繁にセクシャルマイノリティに関する話題が増えました。  この話を書くにあたって、一番悩んだ部分は莉良の性自認です。母親から女であることを強く求められ、息苦しさを感じ続けてる彼女ですが、まだ模索中でありクエスチョニングなのかなと思います。  男性的なファッションを好み、理系にあこがれを持つからといって、性自認が男性である必要性がないなと、私が思ったからでもあります。  まさきに関しては作中に書いたとおり、トランスジェンダーの女性ということになりますが、性別適合手術は受けていませんし、戸籍の変更もされていません。  まず戸籍に関しては、未成年の子がいる場合、性別変更はできないことになっているからという理由です。以前は子がいる場合、一切認められなかったので、少しは進んだと言えるのかもしれませんが、二十年待つ必要があるというのは、あまりに長いような気もします。裁判なんかにもなっているので、気になるかたはどうぞ、調べてみてください。  色々調べていてわかったのは、トランスジェンダーの人がみんな性別適合手術を受けたいと思っているわけではないということです。ではなぜ受けるのかというと、国の法に関係があって、性別適合手術を受けないと性別の変更ができないからという理由があるからです。もちろん、自分には必要ないと思って手術を受ける方もいらっしゃいますし、そのあたりは色々な考え方があるようです。  個人的にはこの要件に対して、非常に疑問を感じました。どうして、男である、女である上で、必ずしも生殖機能を失わなければならないのかなって。健康な体に、大きな負担をかけなければ、自分らしくなれないというのは、なんとも不公平な気がしてしまって。  だって、男なんだから、女なんだから当然でしょうと思った方は、もし病気等で自分が生殖器を失ってしまったら、私は男ではない、女ではないと思うのでしょうか。他者に対しても、そう思うのでしょうか。  トランスジェンダーの問題は、セクシャルマイノリティの中でも特に理解されにくいのではないかなと思いますが、自分がそうだったらと想像力を働かせてみることが必要なのかなと思います。    個人的には、セクシャルマイノリティだけではなく、自分らしくありたいと願うすべての方が、自分らしく生きられる寛容な社会になっていくといいなと思っています。 2022/6/5 岡田朔    
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