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   走り出したまさきさんの車を見送ってから、私は科学館の真ん中に浮かぶ巨大な銀色の球体を見上げた。首が痛くなるくらい大きい球体の上半分に陽の光があたって、眩しく光っている。  あそこにプラネタリウムがあるんだよね。中がどうなっているのか、全然想像ができないけど、見ているだけでワクワクした気持ちになってくる。  まずは、フェネックとハトポに会わなきゃ。いつも話しているとはいえ、実際会うとなると緊張する。私、ちゃんと話せるかな。  ディスコードでも授業でも私はカメラオンにしたことがないから、ふたりは私の顔を知らないし、こんな奴だったのかと思われちゃうかもしれない。そうだったらどうしよう。  考えていたら、急にお腹が痛いような気がして帰りたくなってきてしまった。  でも、まさきさんにも公晴くんにも応援してもらったんだから、ここで帰るなんてできないし、ハトポとフェネックにもがっかりされちゃうよね。  不安なまま球体の下に向かって歩いていたら、見知った顔が目に入った。ハトポだ。  思っていたよりもハトポは背が大きい。隣に立っているフェネックはスマホを見ていて顔が見えないけど、本物のフェネックの写真が印刷されたTシャツを着ているから間違いないだろう。わかりやすい服で行くと言っていたから。  近寄ろうとしたとき、ハトポが遠慮がちに手を振ってきた。  え、なんで私だってわかったんだろう。  手を振り返したら、フェネックも顔を上げて早く来いというように手招きした。  私が駆け寄ると、ふたりともちょっと照れくさそうに笑った。 「俺、ハトポだよ。ライ……だよね」 「うん。遅くなってごめん。なんで、私がライだってわかったの?」 「フェネックが、多分あれじゃないかっていうから、手を振ってみたんだ」  な、というようにハトポがフェネックのほうへ顔を向けた。 「ライっぽかったから、そうかなと思って言ってみたら、ハトポがもう手を振ってた」  ライっぽく見えたんだ。嬉しくて顔がにやけてしまいそうになる。 「あっちで出席の確認しているから、先に行ってきな。もう俺とハトポは済ませたから、ここで待ってる」 「ありがとう。行ってくる」
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