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今日も絶対最高な一日だ!
時は令和、しかし平成にかけ歴史を刻んだ元レディース(女子ヤンキー・暴走族)、チーマーとういうやからたちが存在していた。
しかし平成中期、10代目総長をもって解散させた。
総長、それは谷 圭子、解散当時17歳。
チーム名は「ホワイトスネーク」
その名の通り彼女は157cmと小柄ながらも凛とした姿勢で鉄パイプを日本刀のように細やかな裁きが下々の少女たちのあこがれの的となり10代はヤンキー街道まっしぐらであった。
1型糖尿病というハンデを抱えていながらも、小学生の頃いじめを受けていたこと、また親戚全般がヤンキーだったこともあり(親は反対したそうだが)
しもべをずらずらと引き連れ千葉県ベイエリア~東京都東部を制覇していく。
基本的に女には手を出さない。レディースとやりあう時は素手でやりあう。
いじめをしている男連中を排除するのが圭子、ホワイトスネークの信念。
「それがどんな身分の男だろうと女をいじめるやつは叩きのめす、あたしの鉄パイプであの子が味わった痛み思い知らせてやるよ!」が名言。
しかし圭子は今ではアラサー。
フリーター。独身。1型糖尿病をかかえている。 インスリン注射はかかせない。
「実家はたばこ臭いし男くさい」という理由で千葉県某所の畑の横にあるアパートでひっそりと一人暮らしをしている。
今までまっとうな生き方をできず、若い時に母を亡くし、恋愛も散々な男との経験しかない、「勉強、しときゃよかったな」が口癖。
圭子は高校を卒業してから働きづめだが一般的な家庭、富裕層にあこがれと羨ましさ妬ましさを感じるようになる。そこから歪み「エリート」嫌いとなってしまう。
結婚するなら痛みがわかる強く優しい、ああ、GTOみたいな、とやや痛み強めなアラサーである。
圭子は昼間は地元にある大学病院内で清掃員のバイト、
夜は地元の通販サイトのでっかい工場で働いている。 大変だけど、働きがいがある。掃除は何気に好きだし、剃ってなくなったまゆ、もといおでこも隠せるし、工場のバイトはコツコツと業務をこなせば皆評価してくれて職場の人たちもみんないい人に恵まれている。
元ヤン仲間は夜職の友達や大型トラック運転手ばかりだが、
夜職は「魂は売りたくない精神」を頑なに抱き、
友達に誘われた熟女キャバクラも首になった経験もあり、トラック運転手も運転が下手すぎて1日で首になり今に至る。
圭子の嘆きは「大型のバイクは動かせるのに、なんでだよ!」
「くそ、車の運転苦手なんだよ、特に高速、合流なんて恐怖の極みだ」という何気に?な一面もある。
真面目をつらぬき34歳に到達したが、
「いつかあたしをまともにしてくれる男に出会いたいなぁ...」
と、乙女心を抱いている。圭子は休日になると好きな漫画「湘南純愛組」を読み返したりとGTOをサブスクサイトで一気見すること。
反町隆史がタイプなので彼の出演ドラマや映画をみてばかりいる。
休日は不定期だが、週休2日は休むようにしている。
「周りは結婚とかしてるけど、あたしはきっと無理。だから一生懸命働く。金をためて、一人ひっそりと死んで母ちゃんのところに早く逝きたい」
死んだ母を大人になっても忘れられずにいる。
働くこと、が生きがいになっていた。
「たまにこれあたしの仕事?って思う時もあるし、たまにぶん殴りたくなるやつも職場にいるけど話せば打ち解けるもんだ。だから今のままで満足」
と思っていた。
休みが明け、圭子は土日勤務。
「さぁーて!今日も頑張るぞ!頑張れ!あたし!今日も絶対最高な一日だ!」
と独り言を叫ぶのが毎朝の日課。外は畑だし、角部屋だし、誰かに聞かれても別に構いやしない。
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