237人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
破裂した時、家族ですら手がつけられないところを一度だけ見たことがある。
酷いものだった。チリが自殺するんじゃないかと思ったぐらい。
それが感情の時限爆弾だと本人は理解はしていない。といっても爆弾の火ぶたを切った人間が理解しているとはどの口も言えない。
「体調もですが、関係も綺麗なままでお願いしますね。」
先ほど投げた雑誌を手に持った美佐川は当てつけように雑誌を丸め東藤を指した。関係とは訊かずとも、まわりとの関係である。
平凡から遠のいたルックスの東藤は良くも悪くも目を付けられることが多々あり。現在は今をときめく有名人として見られるが名も知られていない時は、人を舐めているとなどと因縁をつけられ喧嘩になりそうになっあこともあったし、知らない所で噂が流れ知らない人間から責められたりもした。
「もう世間の目が付きまとうから、問題を先に延ばすこともあやふやにも出来ないことを覚えててください。
いい、怪しい人間に話しかけられてついて行かない、変な所に迷い込まない!
ちゃんとこれを守りなさいよ。メディアが飢えた獣ように目を光らしているんだから。」
「疑り深いですね。けっこう真面目にやって来たと思ってるんですが……」
「知らない人間が現場に押し入ったこと忘れてないでしょうね。いいですか前科がある人間に信用なんてないですから。信用して欲しいなら頭を丸めて滝修行をするなら認めてあげます。
でも根が腐っているので生まれ変わるしか道が」
「そうですね。精進して献身的に仕事を頑張ります」
それは一生賭けても無理な話だ。
ここは文句ひとつとして出てこなかった。
残念ながらトラブルに拍車をかけているのは東藤自身であった。
「少しのトラブルもご法堂。許してくれる人間ばかりじゃないんですからね。
なんなら部屋で閉じこもっていただくのが一番うれしいのだけど」
「すいませんね、トラブルが多くて期待に沿えないタレントで」
「なんでこんな生意気に答えるのだろ。お友達はすっごく真面目そうなのに」
頭を悩ます美佐川はため息を吐いた。
「真面目な友達?」
「今日偶然出会ったの。最初は出待ちをしてる子かなと警戒したのだけど話しかけてすぐに分かったの。声とのギャップがなかったからそこもびっくり。
身なりも清潔で綺麗で言葉遣いも棘のない流れるスマートさ、アレは絶対育ちが良くないと出ない白物だわ。
最初のコメントを投稿しよう!