3話

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3話

いい、チリ。貴方の方がしっかりしてるんだから、千紗を守ってあげるんだよ。 公園で走り回る千紗を遠くから見守る両親は俺に心配そうにそう言った。 不思議なもので普通は兄が弟を見守るものだが、兄が少々お転婆なものでケガをして帰ってくるのは日常茶飯事だったこと、そして弟の俺は静かに大人しく外に出ず本を読むものだから、余りの差に真面目な両親の心配は拍車をかけた。 兄はやんちゃで見ておかないといけないというレッテルを貼られ、そして俺は兄の暴走を止める役割となった。 別に俺は好きで本を読んでいるだけで大人しい子ではない、言えば兄より走り、先に口より手が出て、言葉なんてもっと汚いだろう。 けれど、答えは決まっている。僕は誰もが認める完璧でいなくてはいけないと幼いながら気が付いたからである。 そしてそれが最善であることを理解した。 はい、分かりました。千紗は僕がついてます。僕が頑張ります。 そうして両親は俺の言葉を聴いて安心の息をつくのだ。 不満はない、自分が信じて選択して決めたことなのだから、グチグチと文句も不満を吐くつもりもない。 そうしないといけない、これでいいと納得しているはずなのにチリは振り返って自分の影を追う。 自分の影はこんなだっただろうかと。 チリはもう頑張ったんだから頑張らなくていいよ そして、横で見ていた彼がチリの頭を優しく撫でた。
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