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「聞いたことはありますけど詳しくは知りません」
「楽譜とはまたちょっと違うんだけど音を記号化したものだよ。例えばドレミファソラシドからドシラソファミレドって音を出したときに音は曲として上がって下がっていくでしょう。楽譜に起こしてもまるで山みたいに描かれているよね」
金森は話しながら紙に楽譜を書いていく。
「楽譜はいろいろな記号がついて結構複雑だけどMIDIはそういうのないからすごく単純なんだよ。いろいろ種類はあるけど簡単なのはこんな感じ」
描かれた絵は本当に単純だ。音楽がよくわからない人でもこういう感じで次の音が奏でられるのかと見てわかるくらいとてもわかりやすい。それを機械で再生すると音が目に見える形なのだそうだ。楽譜よりももっと簡単に誰にでも音を見ることができる。
「面白いのはね、これで絵を書く人がいるの」
「絵、ですか?」
「さっきドレミの音階を上って下がったやつが山みたいだって言ったでしょ。それと同じような感じで音階で絵を描いてそれを再生する。それは音楽を作ろうとしているんじゃなくて絵を重視しているからもちろんガチャガチャの音なんだけど。時々狙ったんじゃないかっていうような一つの音楽になるものもあるんだよ」
金森の話は真澄にとって衝撃的だった。誰にも理解されないと思っていた自分の体質が違う形で客観的に説明されたような気がしたのだ。彼女の話に夢中になっていると、ちょっと待っててねと言ってノートパソコンを持ってきてくれて実際に打ち込みのMIDIを聞いてみる。
音は一つ一つ独立しているのでいつも聞こえているごちゃごちゃ感がない。思い切って補聴器を外して聞いてみた。
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