キス

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キス

運命の人とキス。 それは【白雪姫】のような夢のまた夢のような状態だが……今、俺はその状態になってしまった。まぁ、眠りについてる場所は“森”ではなく…“音楽室”でしかも俺は【白雪姫】と違って“男”…… 何故こうなってしまったかと言うと、俺は吹奏楽部のトランペット演奏者でいつものように練習場所に片手にトランペットを持って向かっていた。 練習場所に行くには階段があり、そこを登って行くが……どうも運悪く先に移動していたチューバ演奏者の子が階段でバランスを崩してチューバを落としてしまい、俺の真上にチューバが落ちて来てしまった。咄嗟のことだったので俺は避けれず、そのままチューバにあたり、階段から落ちて“深い眠り”についてしまった。 冗談を言っている訳ではない…… 本当に“深い眠り”なのだ。 なんて言うんだろ……生きてるけど目が覚ませない?って言う感じだけど耳とか感覚はちゃんと起きてる?って感じで…… まぁ、なんか分かんないけど、顧問が気絶してるなら大丈夫だろって放置されてる。普通は気絶しねぇつーの、やべえよ、うちの顧問。 放置され暇だなーってそんな風に考えていたら、何かハゲで頭に輪っか付けてるおっさんが来て…… 【運命のものと、“キス”をしろ。しなければお前の眠りは一生さめないだろう。】 って、言ってきた。 最初はそれヤバくね!って焦ってたけど… 今はむしろ前向きに考えている… だって、俺の運命の人がわかるかも知れないんだぜ! 嬉しいに決まってる、そんな事を脳内で考えいたら、音楽室に誰かが入ってきた。 俺は今できる限り目を開けた。 ほんのちょっとしか開けれないが誰が来ているのかくらいは分かった。 片手にトランペットを持ちながら歩く姿は優雅で美しい。 あっあれは! 【学園一の美女】、早乙女(さおとめ)百合子ちゃん! まっまさか!俺の運命の相手ってまさか!百合子ちゃん!?マジそれ嬉しくね!? 「大智君?寝てるの?せっかく探したのに… ふふっ、音楽室で寝ちゃうなんて、君らしいや…」 もう、声だけでも可愛い! 「ねぇ…大智君あのね、私ね「おーい、早乙女!」 後ろに来ていた先生に気づいていなかった百合子ちゃんはビクッと驚いた拍子にトランペットを俺の顔面に落としてしまった。 運が悪いのか良いのか分からないがトランペットの口をつける“ マウスピース”所が見事俺の唇にヒットした。 金属でできているせいか小型なわりそこそこ重いトランペットはとても当たると痛い… 「いってぇ…」 「あっ、大智君ごめん顔にトランペット落としちゃった、顔大丈夫?」 「えっ…………あっうん」 起きれて….る? まさか“間接キス”だからか? と言うことは百合子ちゃんは俺の【運命の人】!? 「大丈夫だよ。百合子ちゃん」 俺は表情を整えながら、話した。 「良かった…本当にごめんね‥.痛かったでしょ」 「良いんだよ、百合子ちゃん……所でさっきの話しかけられた時起きてたんだけど何言おうとしてたんだい?」 もしや告白か? やっぱり、小百合ちゃんは【運命の人】! 「起きてたの?もう、言ってくれれば良かったのに…あのね、チューバの子がね、大智君に怪我させた挙句楽器壊しちゃった(泣)って言ってたのよ…さっきの事といい、許してくれる?」 「……えっ?」 「やっぱり怒ってる?そうだ「いや、そうじゃなくて、良いよ怪我もないし、楽器は先生に言うしかないから」 それに何より一刻も冷静に考えたい… 「そっか…じゃ伝えに行ってくるね!」 「うん…」 いったいどう言う事だ? あのおっさんは… 「運命の人とキスしろって言ってたはず…なのにキスも間接キスもしてない…しかも自分のトランペットだ………」 全然頭が回らない… あのおっさん嘘ついたのか? 「わしは【嘘】をついておらんぞ?」 俺はそう言われて理解した。俺は根本的に間違っていたのだ… くそっ!俺のドキドキ返せよ! 正直者の神様(悪魔)が笑った気がした。
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