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「──と、いうわけで」
担任のゴスタスが閉めに入り、水曜1限目のホームルームも終わりに近づいていた。
「球技大会の実施競技は──生徒の署名で決めるということなので、あとは生徒会と体育会委員が中心に他のクラスと協力して行ってくれ!──さて、と、他に何か話し合うことはあるかーー?」
「ハイッ!」
見た目はかなり陰気そうで、黒髪が長く顔にもかかっているが──眼光の鋭い女子生徒が手を挙げて立ち上がったので、クラスの皆はちょっとざわめいた。
彼女も普段は寡黙なのであったが──
「先生! 球技が苦手な生徒のための新競技を提案したいと思います!」
彼女の名前は、瀬里煉・師黒・ランデバルといい、ちょっと怪しげな太古魔術研究同好会の会長であった──同好会の人数は全員で三名なので、解散ギリギリで、部への昇格はまだしばらくは無理そうであったのだが・・・
「お・・そうか。 で、どんな競技なんだ?」尋ねる担任のゴスタス。
「VR《バーチャルリアリティ》大玉ころがし・・です!」
瀬里煉の発言に、クラス全員がさらにどよめいた。
「えっ? マジかよ? 大玉ころがしだって?」
「ヤッダー。 まるで小学生じゃん!」
「でも、VRだって? 瀬里煉がそんなアプリ作れるわけないよな?」
「おい!静かに!・・で、他にこの競技への賛同者はいるのか?」ゴスタスがさらに発言を促す。
「はい。 ソフトウェア超研究部部長の凍李島君です!」
瀬里煉は一気にそう言うと、口元にわずかなほほ笑みを浮かべた。
「そうです! ゴスタス先生!」
さっき、先生に質問を投げかけた小半典・サイラス・凍李島が再度立ち上がって賛同者であることを示した。
(おっと! 小半典のヤツまで・・どうしたんだ二人とも? いつもの大人しい二人じゃないぞ?!)
球技大会準備の思わぬ流れに、オレはなんだか、ちょっと、オモシロクなってきた!
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