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一年後、Kの心臓を食べることを条件に、Kは私のプロポーズを受け入れた。
「君なら僕の心臓を食べてくれそうだったから」
そう言って笑うKは、プロポーズをされたことよりも、心臓を食べてもらえることに強い喜びを感じているようだった。
「どうやら僕の心臓は青いらしくて」
「青い?」
「うん。青いらしいんだ。醜いよね」
私が否定するよりも先にKが手を挙げて制した。
「母がそう言ってたんだ」Kは続ける。「ああ……僕がこの世に存在すること、それ自体が我慢ならない。早くこの心臓を取り出してほしいよ」
嘆息するKの様子は結婚を決めたばかりの人間が示す一般的なふるまいとは遠くかけ離れていた。
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