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友達が何も反応を示さなくなってしまったことが、やはり悲しい。
結局、それ以上言葉を発することなく、寺井の場所へと戻っていった。
梨絵は佑一の後姿を少し見て、また聖書を読み始めた。
◇
二時限分の授業時間を使って、広大な演習場で授業を終えた生徒達は、着替えを済ませて移動用のバスに乗る。
学校に帰り、佑一は事務室にいた。戻った頃には既に午後の授業が終わるような時間帯であり、寺井は自分が受け持つクラスに向かった。
ホームルームが終わり、寺井がやってきた。資料を沢山持ってきて、机に並べて重ねていく。
「君が頼んでいた資料を一通り揃えてきた。原本の持ち出しとコピーは禁止だ。まだ何かいるかい?」
「充分です」
「あと、これを」
そう言って、寺井は一冊のファイルを渡してきた。中は生徒の一覧で、成績や性格はもちろん、宗教思考など様々な細かい事柄も記載されている。
「部隊に編成された生徒のリストだ。生徒との面識がないと大変だから参考にしてくれ」
「ありがとうございます」
「本格的なことは明日からにしよう。あと、数日中に君の実力を試す機会を設けるそうだ。気を悪くしないでほしいが、君の正体がわからない教員に信用してもらう為のテストだと思ってほしい」
「かまいません」
「改めてよろしく頼む」
「こちらこそ。よろしくお願いします」
寺井は事務室を出る。信用できる人間であることは間違いなかった。
一人になった事務室で、何度目かわからない溜め息を漏らす。この調子でやっていけるのか若干の不安があった。
だが、悩んでいても片付く訳ではない。与えられた任務である以上、佑一は与えられた仕事を十二分に務め、こなすしかない。
生徒名簿に一通り目を通そうと椅子に座った。夏にはいったばかりで、陽はまだ高かった。
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