第二章 あなたの好きなものは何ですか?

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◇  結果を言えば、佑一の実力を疑う者は誰もいなくなった。  射撃において誰よりも優秀な成績を残し、近接格闘の模擬戦闘では名乗り出た教師達を悉く負かした。女性教師もいたが、一切の加減と容赦はしなかった。中には上から目線でくる教師が二人ほどいたので、その相手には少しだけ力を強めた。プライドを折る為だけに。  一人は女性教師だったが、足だけに攻撃を集中させて動けなくした。青紫色に腫れた足は思う様に動かず、まだ戦う意思があるのに思う様に動けず、いいように打撃を貰って泣いていた。  もう一人の男性教師には、佑一がわざと負けている状況を作らせながら、的確に肝臓へ打撃を与え続けて嘔吐させた。気を失わせないよう、相手の腹部と脇腹を主に攻撃していたので、しばらく立つことができず、込み上げてくる吐き気と打撃の痛みに苦しみ、地面に転がってもがいていた。  それを無表情で見下ろす佑一に、教師達は言いようのない恐怖を抱いた。  全てを見届けた門倉は笑顔で告げた。 「よくやった」
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