その10

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その10

「ふんふふ〜ん…♪」  吉田が鼻歌を歌う。 「ふふふ〜ん…♪」  さっきから、俺と渡瀬のそばでしばらく歌っている。 「よっしー、なんの曲?さっきからずっと歌ってるけどさ?」 「やめとけカズキ、どうせよっしーのことだ、最新ロボの曲だろ」  渡瀬は笑ってすかさず俺をつつく。 「いやあ、なんの曲だっけなあ…思い出せなくてなあ…」  吉田はそう言いながら続きの部分を、つっかえつっかえしばらく歌い足した。  俺はしばらく考え、ふと気付いた。 「…ねえ、それって世界でも有名になったあの曲じゃない?」  俺は題名を言ってみる。 「…あぁ、それだろ!な、よっしー?」  渡瀬も頷くけれど、吉田は首を傾げる。 「え、そうなのか??…そうだ、これはこの前妹が聴いてたんだった。なんの曲か聞いても、ため息をつかれただけだった…」 「え〜!?」  この曲は少し前に流行った、世界的大ヒットしたという名曲。  街中でもよく流れていて、題名も曲自体も、みんなが聞いたことがあると思っていた。  渡瀬は苦笑い。 「…そりゃそうだろ。こんな有名になった曲、よっしーは分からないのかよ…」  …吉田は世の中の流行りには、かなりうとい。
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