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その11
うちの高校で部活動の活動紹介動画を撮ることになり、なぜか俺はその主力の映像写真部のアシスタントをやることになった。
アシスタントは各学年やクラスから集められた有志や推薦ばかりの数人のメンバー。
とはいえ、映像部とともになかなか楽しく部活動の様子を映像に収められていったと思う。
そしてとうとう、吉田やハマ先輩のいる『二次元同好会(二次部)』の撮影の番になった。
「お願いしま〜す…」
普段から笑顔よりも、変わったテンションの高さのほうが目立つ二次部のメンバー。
どんなに映像写真部が写真を撮るため『笑って下さい』と言おうと、二次部メンバーみんなの笑顔はどうもぎこちない。
「…ハマ先輩、次は部の紹介からお願いしま〜す!」
次に俺がそう言いカメラが回り始めると、ハマ先輩はぎこちない笑顔から一変。
後ろで手を組むと同時に顔は真剣、部のメンバーの方へ体を向け、
「全員、配置につけ!」
のセリフのあと片手は前へビッと突き出すハマ先輩。
「「了解!!」」
メンバーは敬礼するとすぐさま横一列に並ぶ。
唖然とする動画制作メンバーをよそにハマ先輩が、
「行くぞ!!」
と掛け声をかけると、二次部のメンバーとともに一目散に走り始めた。
「か、カット…」
と、カメラを回していた映像部の先輩。さらに、
「…ハマちゃん…なんでいきなり走ったのよ…??」
と苦笑で先輩が尋ねると、ハマ先輩は目をパチクリ。
「え?だって、オープニングはそんなもんだから。アニメ、ゲームの二、三個に一個は、オープニングで走るもんだろ?基本だもん」
ハマ先輩の言葉に、吉田や他の二次部メンバーも揃って「うんうん」と頷いている。
映像部の先輩は口をポカン。
俺は、
(…なんか、誰かさんのときにも同じような光景をよく見るよなあ…)
と妙に感心したのだった。
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