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「ふはははは!今度こそ譲ってもらうぞ、絶好の日和をな!!」
勝ち誇ったように笑うハマ先輩。
「うう……覚えてなさい!!」
テガ部長はかなり悔しそうに口早にそう言うと、勢い良く走り去った。
「……あの、ハマ先輩。この勝負は一体……」
俺は恐る恐る、まだ勝ち誇ったように笑っているハマ先輩にそう聞いた。
すると、
「なんだ星野隊員(ハマ先輩の呼ぶ、俺の呼び名)、テガから聞いていないのか?次の『クラブ活動の日』に図書委員の活動が無いということでな、いつも克ち合う美術部と我らが二次部で、図書室の使用許可を巡って半年ぶりに戦ったのだ。……いやあ、良い戦いだったなあ」
聞いている俺を含めた美術部部員は、ただそれだけのための勝負だったことを知り、呆然。
……おまけにテガ部長って、かなり乗せられやすいタイプだったのか……
翌日から、周囲のテガ部長を見る目が変わった。
ある人は畏れ敬い、ある人は真っ直ぐに尊敬の眼差しを向け……
まさかテガ部長にあんな“ツン属性”があるなんて、美術部部員のほとんどが知らなかったのもあっただろう。
それから俺の方はというと……
「星野くん!!絶っっ対に、二次部になんて入らないで!掛け持ちもイヤ!あんなヤツに大切な部員を取られるなんて、絶対に納得がいかないんだから!!」
俺にそう訴えるテガ部長は必死だった。
……気にしなければいいのに、テガ部長はハマ先輩のことが本当は好きな、“天邪鬼”の意味のツンデレなんじゃ……
二次部ハマ先輩と美術部テガ部長の因縁は、これからも続きそうだ。
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