第1章 Seed《種》14

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第1章 Seed《種》14

「さ、諦めたら携帯かパソコンよこしてくれ。軍に生存報告をせにゃならん」 「それはだめです。僕はまだあなたを百パーセント信用したわけではないですから」 「おいおい、俺はおまえらの身を守る連合軍だぞ? 協力しろよ」 「どこにそんな証拠があります? あなたが指名手配犯のシリアルキラーで脱獄してる最中だったらどうしますか」 「そしたら真っ先にお前を殺してるだろうなあ」  脅すように、今度は大きく両牙を剥くとやっぱり迫力が違う。  そう、その気になればこの熊は今この場でリリアスの頭などひと噛みで殺せるのだ。  急に恐怖を思い出して後ずさった。 「ははは、どうだ怖いだろ?」  テオはびびるリリアスを見て楽しんでいるようだった。何とも悪趣味の熊だ。 「からかわないでください!」 「おまえ、テレビの見過ぎだぞ。そんなスリリングホラーがそこら辺にそうそう転がってるわきゃねえ。俺はただの下っ端負傷兵さ」 「と、とにかく! しょうがないから傷の治療はしますが誰にもバレずに出て行ってもらうまで外とコンタクトが取れる電子機器は渡せません!」  強気に出ると両手を降参のポーズで今度はひらひらさせた。 「わぁかったよ、大人しくするっての。じゃこれからよろしくな、リリアス」 「……食べ物は熱帯魚用の餌でいんですよね?」  せめてもの反撃だった。
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