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終
後になって知った話だが、幸助の部屋のベランダは散らかり放題にしていて人が居れるようなスペースがなかったらしい。
「家具の買い替えをしてて、古いものを置いてたんだよ。だからあそこで一服なんて無理無理」
私も見たが、確かに大小様々な家具が雨ざらしになっていて、とてもじゃないが「人間が」そこに居れるような状態ではなかった。
そしてもう一つ。
雨ざらしのベランダから入ってきたのに、あの"友也くん"が歩いたであろう場所は少しも濡れていなかった。
そして何より。
あの時ベランダは内側から鍵がかかっていたというのだ。
私は居酒屋で聞いたベッド下の男の怪談の解釈について思い起こす。
あの怪談の解釈として「男がこの世の者ではない」というパターンがある。
今回もそれだったのではないか。
ベッド下に居たのがその"何者か"か"私"かの違いはあったが、いずれにせよ状況から考えてアレが人間だったとは思えない。
もしその人間ではない何かが、それこそ件の怪談と同じ流れで気まぐれでベッドの下を覗き込んでいたら、私はどうなっていたのだろう。
そう考えると、今でも薄ら寒く、少しだけ早く心臓が脈を打つのだ。
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