1

2/5
前へ
/13ページ
次へ
話は昨日の夜に遡る。 駅近くの行きつけの居酒屋で、私と幸助がくだを巻いていた時のことだ。 ちょうど翌日が幸助の誕生日なので、ささやかなプレゼントをあげた後だ。 不意に幸助の携帯が鳴った。 「友也と秋人が近くで飲んでるって。せっかくだし合流するか」 私は二つ返事で頷く。二人っきりも悪くないが、最近は二人で遊ぶことが多かったし、たまにはワイワイ飲むのもいいなと思ったからだ。 幸助が返信すると、二人は五分と経たずにやって来た。 「おー、美緒(みお)ちゃん久しぶり。ごめんね二人っきりのところ邪魔しちゃって」 そう言って手刀を切った後で、使った後のおしぼりを丁寧に畳んだのが友也くん。 幸助とは大学の学部が同じで、入学からの付き合いだ。今はどうなのか分からないが、音楽サークルに入っていてベースをやっていたらしい。 「すいませーん。生二つください」 男性にしてはやや高めの声。それに加えて特徴的な座高の高さで、友也くんより頭半分ほど抜けているのが秋人くん。 就職先がアパレル系だからか、ゆるくウェーブがかかったハイトーンの髪の毛。会社勤めの幸助や友也くんは対照的に黒髪ショートだ。 かくして久方ぶりの飲み仲間集合。本当はあと何人かいるのだが、今回は四人でこじんまりと飲むことになった。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加