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話は昨日の夜に遡る。
駅近くの行きつけの居酒屋で、私と幸助がくだを巻いていた時のことだ。
ちょうど翌日が幸助の誕生日なので、ささやかなプレゼントをあげた後だ。
不意に幸助の携帯が鳴った。
「友也と秋人が近くで飲んでるって。せっかくだし合流するか」
私は二つ返事で頷く。二人っきりも悪くないが、最近は二人で遊ぶことが多かったし、たまにはワイワイ飲むのもいいなと思ったからだ。
幸助が返信すると、二人は五分と経たずにやって来た。
「おー、美緒ちゃん久しぶり。ごめんね二人っきりのところ邪魔しちゃって」
そう言って手刀を切った後で、使った後のおしぼりを丁寧に畳んだのが友也くん。
幸助とは大学の学部が同じで、入学からの付き合いだ。今はどうなのか分からないが、音楽サークルに入っていてベースをやっていたらしい。
「すいませーん。生二つください」
男性にしてはやや高めの声。それに加えて特徴的な座高の高さで、友也くんより頭半分ほど抜けているのが秋人くん。
就職先がアパレル系だからか、ゆるくウェーブがかかったハイトーンの髪の毛。会社勤めの幸助や友也くんは対照的に黒髪ショートだ。
かくして久方ぶりの飲み仲間集合。本当はあと何人かいるのだが、今回は四人でこじんまりと飲むことになった。
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