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といっても何かかしこまった話があるわけでもない。
互いの近況を聞き合い、あとは学生時代のエピソードを連ねるといったお決まりの流れだ。
「その時のさ、幸助がダダダーって走って来た時の表情がもうめちゃくちゃ面白くてさ、そっから半年くらい秋人がずーっとその顔真似してんの」
「いや半年はさすがに盛りすぎ」
「でもそれくらいインパクトはあったって」
そう言って友也くんと秋人くんはからからと笑う。幸助の実家に遊びに行った時に二人が幸助の中学時代の私小説を見つけた時のエピソードだ。
「あの時、マジで恥ずかしくて死ぬかと思ったわ」
その幸助の言葉で、秋人くんが何かを思い出したように目を開いた。
「死ぬかと思った、で思い出したんだけどさ、幸助聞いた?友也の同僚の恐怖体験の話」
「え、なにそれ初耳」
幸助が食い気味に言いながら身を僅かに乗り出す。
私も幸助も、怪談話の類は好物だった。
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