チョコレートパフェ(愛咲陽✕啓吾)

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チョコレートパフェ(愛咲陽✕啓吾)

 恋をする相手は、何も異性だけとは限らない。  俺ー桜雫愛咲陽ーには、honeyと呼べる程、愛する男の恋人がいる。  高津啓吾。  俺よりも男らしく、仕事もでき、人徳のある彼の周りにはいつも人がいる程、完璧に見える彼だが、唯一、欠点といえば、弟への愛が強い。  所謂、『Brother Complex』ブラコンと言えばわかるかな? 俺には兄弟がいないから、最初の頃、周りが異常だということがよくわからなかったけど、honeyの両親が亡くなると、弟への異常な愛情表現が目に見えてきた。  そして今日も、弟からの返事を待つhoneyの姿に肩を竦める。 ✱✱✱  冷蔵庫に常備してある俺用のワインの瓶、honey用のビール缶を手に、ソファーで腕を組み、テーブルの上に置いてあるスマホと睨み合ってるhoneyの隣に腰を掛け、ビール缶をスマホの隣に置く。 「brotherからのメール待ち? 昼にも送って、さっきも送ってただろ?」 「朝に送ってたのも、昼に送ったのも、今送ったのも既読が付いているんだ返すのが普通だろ? あとbrotherって言うなお前の弟じゃない」 「OK‥‥気になるなら電話すれば?」 「できるわけないだろ? 俺は兄友だ」  ドヤ顔を見せたhoneyは、ビールのプルタブを開けて、喉を鳴らして飲み始め、俺も開けたワインをグラスには移さず、そのまま何口か飲む。  まーた、新しい言葉を使ってきた……友達のようなおにーちゃんってことか……面倒くさいな……  honeyに気づかれないように、スタンドが置いてあるテーブルにあった自分のスマホを取り「honeyにメールしてあげて」とbrotherにメールを送る。 「で? メールの内容は? おはよう? それとも今何してるとか?」 「今日は兄の日だって言うのを知ってるか? ってメシでもどうだってメール」 「uh-hun……今からでも俺と食事に行く?」  眺めていたスマホから俺に視線を変えたhoneyの顔は、眉を寄せて理解ができないという表情になっていた。 「はぁ?兄弟でもないお前と食事しなきゃならないいのか説明しろ」 「OK? では、ご説明しましょ?」  持っていたワインの瓶をテーブルに置いて、体ごとhoneyの方を向き、honeyも体ごと俺の方を向くから、ソファーの上でいい大人の男二人が胡座をかいてる姿はなんとも滑稽だろう。  ここでしくじると話も聞いてくれなくなるだろうから、慎重に慎重を重ね言葉を選びながら、提案していく。 「honeyの誕生日は俺の誕生日と半年も離れてるだろ? 今はタメだけどさ、来月になると俺はひとつ下になるんだぜ? ここは、俺という弟と過ごさない? おにーちゃん♡」 「…………」
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