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麗奈によそってもらったご飯にカレーをかけ、半熟の目玉焼きを乗せた。レタスとプチトマトのサラダもテーブルに並べれば、夕飯の出来上がりだ。
「いただきます!」
麗奈は大きな口でカレーを頬張った。
「美味しい。家のカレーとやっぱりちょっと違うね」
「そう?」
「ママが食べたら帰って来なさいって」
「うん。ピアノはもういい? お家にもあるんだっけ?」
「うち、マンションだから電子ピアノなんだ。友達はこれと同じアップライトピアノ。たまに弾かせてもらうんだけど、ママはちょっと嫌がるんだよね」
「相手が男の子だから?」
麗奈がびっくりした顔でこちらを見た。
「何で分かったの?」
「何となくね。さっき言ってたピアノが上手な友達?」
「そう。家にお邪魔しちゃ迷惑でしょって。きっとママは、友達のママのこと好きじゃないの」
「そっか。難しいね」
「でも私達には関係ないし」
「うん」
「これ見て。その友達と連弾で出ようと思ってる」
二ヶ月先のこの場所で、エントリーすれば誰でも参加出来るピアノ発表会だ。
「あら、いいじゃない。頑張って」
「菜絵さんも出ようよ」
「えっ。無理だよ」
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