心機一転

2/4
前へ
/64ページ
次へ
目的地に着いて軽く深呼吸をした。 大丈夫、大丈夫。 今朝ウィークリーマンションを出てから、何回この言葉を唱えたことだろう。 エントランスから人が出てくる気配を感じて笑顔を繕う。箒を片手に出てきたその人は、私も知っている人だった。 ───このマンションの管理人、ヒロさん。 「こんにちは。今日からよろしくお願いします」 「こちらこそよろしくお願いします」 近寄って挨拶をすると、優しい口調で返してくれた。溢れ出ている癒しオーラ。 「お邪魔したら悪いので、あとで改めてご挨拶させて下さい」 「そんなに気を遣わないで下さい」 挨拶は程々にして、マンション内に足を踏み入れた。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

49人が本棚に入れています
本棚に追加