くだらない行為、なんて

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賢人が避妊具をつけながら「西沢、後ろ向け」と言う。 「後ろ?」 「四つん這いになれ」 「やだ、恥ずかしいっ」 「いいから」 言われた通りおずおずと春奈が四つん這いになると、息つく間もなく賢人が挿入された。 「ああぁっ…先生っ!やっ、あ」 賢人が思い切り腰を揺すってくる衝撃をシーツを掴んで春奈は耐えた。 「あっ、先生っ、奥っ、奥に当たって…あっ、あ」 「気持ちいいだろ?」 「やっ、せんせっ、あっ、あっ」 賢人が激しく打ち付けてくる腰に春奈は自分の腰が壊れてしまうんじゃないかと思う。 けれどそんな思考も搔き消されてしまうくらいに激しく腰を揺すられる。 背後から漏れる賢人の息遣いが体を昂らせる。 春奈はただただ嬌声をあげた。 「せんせっ、もうダメっ、また…また変になるっ」 「もうちょっと頑張れ」 「やっ…先生っ…も、無理っ…無理っ…」 賢人が後ろから春奈の髪をかき寄せながら首筋に口付ける。 「もっ…願い…先生っ…お願いっ」 「っ…仕方ねぇな。イッていいぞ、俺もイクから」 そう言って賢人が再び激しく腰を揺する。 「あっ、あっ、あぁんっ」 春奈のお腹が脈打って、四つん這いになっていた姿勢がベッドに沈み込む。 中がほんのり温かくなって賢人の温もりを感じた。 賢人が春奈の身体をぐるっと反転させてギュッと抱きしめてくる。 「西沢、好きだ」 「先生、先生、私も…」 その言葉を訊いた賢人が春奈に深く深く口付ける。 春奈の瞳から涙がこぼれた。 「なぁ、やっぱり西沢にとってこれはくだらない行為か?」 「うーん、くだらなくて…」 「くだらなくて?」 「幸せな行為」 にこっと春奈が笑って見せた。 「だから西沢、普段からそうやって笑ってろよ」 「先生、春奈って呼んで?」 「本当にベッドの中では甘えただな」 クックと賢人が笑う。 「うるさい!」 「じゃあお前も賢人でいいよ」 「賢人…さん…」 春奈はやっと訪れた幸せを噛み締めた。
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