1/2
25人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ

 蕎麦屋から帰ってきて、俺と雄馬は車で買い出しに出かけた。いろいろと見て回っていたら、あっというまに夕暮れ時になってしまった。  そのあとは、飯を食って、風呂に入って、軽く酒を飲んで。最後に歯を磨いた。  その晩はまあ、いつも通りのことをしただけなんだが。  一言でいうと、満足度が高かった。  次の日の朝、早めに目が覚めた。  目覚ましより1時間も早い。  隣で眠る雄馬を起こさないようにして、静かにベッドから這い出る。  今日は可燃ごみの日だったと思い立ち、キッチンに置いてある袋の口を縛る。  早朝のごみ捨て置き場。  このマンション専用の、緑の金網で仕切られた4畳ほどの空間。三方は壁で囲まれている。桜の木の下。春になれば、桜吹雪がこの空間を埋めつくしてくれる。  そこには先客がいた。 「おはようございます」  先にこちらから挨拶をする。すると、キツネのような目をした男がふわりと微笑む。2人ともフランス人だと聞いている。アルファ・ビルヂングは国際色豊かなマンションだなと思う。背の低い方の黄金色が、朝陽にあたって眩しい。 「おはようございます」 「おっはよー」  505号室のテオとミカだ。2人はいつも一緒にいる。男同士。年の差がありそうなところ。どんな関係なのかは知らない。でも、とても仲睦まじそうだ。  挨拶だけでは味気ないので、マンションに関わる話を試みる。 「最近、このあたりでコウモリをよく見るんですが……なにか対策などはあるんでしょうか」  びく、とおかしいくらいにミカの身体が反応した。なんだ。コウモリが苦手なのか?  テオがちょっと息を吐いてから答える。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!