二回目はさ

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二回目はさ

『ああ…唇にキスしないってやつも?』 「うん、あの時初めて破った。悪かった」 『謝らないで、俺こそルール破らせてごめん』 「いや…いつもなら絶対にしないんだ。ナチだから…俺が、したかったのかも…」 『顔も見えなかったのに?』 「オーナーが…顔や身体じゃないって…心が繋がるって…言ってたから…」 『で?俺たちは心も繋がれたの?』 「わからない…知らないんだ。けどずっと、ナチの二回目が誰なのか、どうなのか気になって胸が痛かった」 『気になる?俺の二回目』 「聞いたら…心臓が壊れてしまうかも」 ナチが俺の耳元でそっと囁いた。 【二回目もその次もずっと、ヒロがいい…ヒロしかいらない】 ナチ…俺ももう、ナチしか抱きたくない。 ガチャン… 今夜は仕事じゃないから、同じ建物の最上階ペントハウス…俺の部屋。 ダン! ナチを玄関の壁に押し付け唇を貪る。 『うん…んふ…はっ…ヒロ…』 「ナチ…いいのか?二回目も俺で…」 『はぁはぁ…言ったでしょう?二回目もその後もずっとヒロがいい…わ、ヒロ…もうガチガチ』 「ああ…ナチ…こんなに欲しいと思うのも、欲情するのもはじめてだ…」 『ふふ、今夜は俺が【はじめて屋】だ。ヒロのはじめてをたくさんちょうだい?』 「ヒロユキだ…オーナー以外知らない」 『ヒロユキ…俺はナオチカ…』 「ナオチカ…だからナチ…」 『うん…みんなナチって呼ぶけど、ヒロユキにはちゃんと呼んで欲しい』 「ナオチカ…これを本気で言うのもはじめてだ。ナオチカ、好きだ」 『ヒロユキ…うん、俺も好き…ね、シャワー…』 「ダメだ…ナオチカのタバコの混ざった香水も、汗の匂いも全部欲しい」 俺はナオチカのネクタイを抜き、ワイシャツのボタンに手をかける。 ナオチカも俺のニットを脱がせ、ジーンズのボタンを外した。 「あんまり煽るな、二回目なのに優しくできない」 『ヒロユキ…今夜はゆっくり抱いて?』 二人を隔てるものはない…もう仮面もルールもない…思う存分抱き合いたい。
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