16人が本棚に入れています
本棚に追加
スッと細い光が差し込み、今だ!とばかりに大きな声で叫んだ。
「出してくれェーーッ! 今すぐこっから出してくれよ! 俺たちが何したっていうんだ。
ここにいるヤツ、みんな弱ってんだ。出してやってくれよ!」
そう言ったもののすぐに扉は閉まり、違う扉の開閉の音がした。ガラガラと、建材が崩れるような酷い音だった。
「じいさん。別の部屋もあるのかよ」
「いや、知らねぇなぁ。近くにも俺たちみたいに囚われてるのがいるのかもな。可哀想に」
アリタは諦めた口調で、ひとごとのように言った。
「諦めんなよ、じいさん」
出会ったばかりの顔も見たことないじいさんに、何とも言えぬ寂しさを感じた。
男たちが外にいることはわかっている。扉が閉まっていようが構わない。スズキは暗闇の中で大声で叫ぶ。
最初のコメントを投稿しよう!