記憶

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 ガタガタン。と、いつもと違う物音が扉の外でした。人の声が近づいてくる。 「適当に座ってや」 「マジかよ、お前。呼んどいて座るとこくらい用意しろよ。相変わらず汚ねぇとこだな」    するとアリタが珍しく、その声に反応した。 「これは珍しい。おい、若いの。お前さん持ってるな。今日は珍しくひとりじゃねぇぞ。もしかしたらここを開けてもらうことが出来るかもしれん」 「ホントかよ、それ」 「もし扉が開いたら叫べ。デカい声で叫ぶんだ。俺らここにいる連中には叫ぶチカラはない。だけどお前さんは来たばかりで、唯一声を張り上げることの出来る若者だ。  こんなことは滅多にないぞ。俺たちみんなを助けてくれ。全てはお前さんに掛かってるんだ」  それを聞いたスズキは、好機がやってきたとチカラがみなぎる。しかし外の会話は近くなったり遠くなったり。開くタイミングがなかなか掴めない。  するとーー。
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