第2話 決めつけたくない

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放課後の野球部の部室で淳人は部活の準備をしながら考え込んでいた。表情が変わらないが、少し雰囲気が違う淳人の様子を見て、正紀は話しかけるのを躊躇していた。 「……なあ、木村」 とりあえず声掛けるのはやめておこうと思っていたところで淳人から話しかけられて正紀は驚いた。しかも、淳人の方から話しかけてくること自体が珍しいから、余計にビックリしてしまった。淳人はそんな正紀の様子を特に気にする素振りも見せずに話を続ける。 「お前の幼なじみの間宮さんに言っておいて」 「え?菜緒に?」 突如出てきた菜緒の名前に正紀はさらに驚く。   「……ありがとう、って」 淳人は表情を全く変えることなくそう言って、キョトンとする正紀を残して練習グラウンドへと向かって行った。 「……何なんだ?」 色々な驚きが続いて正紀は分けがわからなかった。ただ、考えても仕方がないので、部活から帰ったらすぐに菜緒の家に行って淳人の言葉を伝えながら話を聞いてみようと思った。
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