鬼部長の包囲網

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「楓久しぶりね〜」  柚のとき同様、楓にも抱きつく母。そして、父も母の後に楓にハグをする。  響は驚くと同時に、愛情を全面に出す両親に感動する。 「ここでは迷惑だよ」 「そうね。私達の家に行きましょう」  家?と疑問に思ったが、驚きすぎてもう何があっても驚かないと思っていた響は、まだ驚く事になる。    ホテルの敷地内で自家用車が入れるのは、ゲートからエントランスまでになっている。その奥のコテージやアクティビティには、カートに乗るか、サイクリング用の自転車に乗るか、徒歩なのだ。 「家まで徒歩だと10分くらい掛かるけど、カートにする?」母が響に聞く。 「ご迷惑でなければ、歩いて景色を楽しみたいです」 「そう?私達は普段健康のために歩くようにしているから、じゃあみんなで歩きましょう」  気さくな母親にピッタリ寄り添う父。響は自分の両親も仲が良いと思っていたが、柚の両親は、夫婦というよりカップルだ。  響は自分の理想の夫婦に出会えた気がする。柚と手をつなぎ、両親と楓の後に続き幸せを噛みしめる。  
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