鬼部長の包囲網

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 前を歩く両親から少し距離をとり、二人も仲良くデート気分を味わう。 「響さん、うちの両親に驚いたでしょう?」 「ああ。いい意味で驚いた。俺の理想とする夫婦だ」 「へ?」 「俺は柚とああなりたい」揺るぎない言葉に胸が熱くなる。 「恥ずかしくないですか?」 「何が?」 「楓がよく恥ずかしがってるから。私も仲の良い両親を見てると嬉しいんだけど…」 「確かに、学生の頃なら若干恥ずかしかったかもしれないが、柚を好きになってからの俺からしたら、ご両親は理想だ」 「なら良かった」 「それにしてもご両親お若いなぁ」 「そうですか?20歳の時の子なので、44歳かな?」 「かなり若いが、もっと若く見える」 「そうかな?私も母のようになりたい」 「柚ならなれるよ」 「お〜い。二人共どこまで行くんだ?」  楓に呼び止められるまで、二人の世界に入っていて、実家を通り過ぎていた。響は、楓の方を見て驚く。可愛らしいコテージの中を歩いて来たが、目の前にはドドンとそびえ立つ真っ白の洋館。
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