《ハッピーウェディング》

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 澄み渡る北海道の青空の下、自然の中に建てられたチャペルの入口には、真っ白なウエディングドレスを着た柚とバージンロードを一緒に歩く父。 「お父さん、忙しいのに準備してくれてありがとう。そして、今まで本当にありがとうございました」深く頭を下げた。 「柚…」既に感動で涙を浮かべている。 「双子の弟と妹には驚いたけど、私は楓と双子で良かったから、きっと翔と結にとってもこれからの人生、心強い兄妹がいて幸せだと思う。それに、私達のお父さんとお母さんは世界一だから」  天使のような笑顔で微笑む愛娘。もう、流れる涙は止まらない。  チャペルの前で待機していたスタッフまで、一緒に号泣しているのだ。  新婦の柚よりも、父親の涙が止まらず入場できない。 「社長そろそろ…」 「ああ、わかってる」  このミヅキリゾートの社長ではあるが、今日の気持ちは完全に新婦の父親だ。  必死で涙を抑え前を向く父。 「柚、響くんと幸せになりなさい」 「はい」  返事と共に扉は開かれた。
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