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「へい、らっしゃい!」
アフロヘア―に口髭、Tシャツ、ジーパン、お洒落なエプロンを着けた一人の店員がレジカウンターの脇に立ち、寿司屋か魚屋のようなノリで云った。
違和感しかないその絵面に、僕は思わず訊いてしまった。
「ここはレンタルショップですよね?」
「はいそうですが。もしや、私の“らっしゃい”が場違いなのではと思いましたね?」
「いや、そういう訳では……(“らっしゃい”、って言うんだ)」
「“らっしゃい”とは、とても深い意味を持つことばです。馬鹿にしては……駄目だぁ。楽しい人生を送りたいのなら、先入観は捨てたほうがいい! 損するよ」
「はあ……」
店員の言っていることが良く分からなかった。店内は狭く、食事席が二席、カウンターを挟んで調理場があり、普通の飲食店に見える。とてもじゃないが、僕のイメージしていたレンタルショップとは程遠い。
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