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眉間に皺を寄せている。
私は察した。
召喚失敗記録更新は受け入れても召喚対象失敗は認めたくない顔だ。
「何かの手違いでしょう。お帰りいただ───」
作り笑顔でキラキラを蒔き散らされても怯まない。
「なかったことにしたい気持ちはお察し致しますが、もし私が正解だった場合の対処法はおありですか? 」
「そん───」
「そんなことはありえない、となぜ言えるんですか? 書類審査ですか? 綺麗な人だけが特別な能力を得るに相応しいなんてただの偏見でしかありませんよね? 綺麗じゃない者は虐げられて当然とでも思ってらっしゃるのでしょうか。そんな認識で何を救うんですか? 違うと否定はできませんよね? 他の皆さんに対しても失礼しかありませんでしたが、おまえの部屋は用意してないからさっさと帰れ的な意味合いですよね? 勝手に召喚したのに不平等過ぎませんか? 」
前例がないのか、彼は口が金魚になっていた。
……やってしまった。
責め立てるような正論。
私の武器であり、欠点だった。
「あっははははは!! ラウラ、貴殿の負けじゃ。よもや、ここまでハッキリとした意見を言えるとは。ハズレでも手元に置きたい人材じゃ」
髭もじゃの、如何にもなもっさり王様が現れた。
「へ、陛下……」
「丁度、神子用の部屋があったな」
「そ、そこは! 」
「女性に失礼をしている自覚があるならすぐにお連れしなさい。手違いでも一宿一飯と失礼の詫びにはなるはずじゃ」
「……わかりました」
……はっ!
「度重なる失礼な発言と気を使わせてしまい、申し訳ありません! 代わりと言ってはなんですが、真っ先に皆さんの目の前で調べて頂き、違うならその場でお返しください。そうすればラウラさんの顔を立てられるかと……」
ふたりは私の申し出にポカンとしていた。
「くくく……。我はガウェイン・ドラグシールド。貴殿は名をなんと申す? 」
「は、はい! さ、紗倉実紗、です……」
「サクラミサ、ミサか。覚えておこう。ラウラ、もう失礼のないようにな」
「は、はい……」
大層なこと言って、フォローにならない自フォローして、待っているのは自滅ばかりだったのにこの王様の心の広さは果てしない広大な草原過ぎた。
そもそも、100スカしてる彼がいるのだ。
寛大でなければやっていけないだろう。
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