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でも、不思議なくらいこの世界の人は私のアレコレを聞いてこない。
たぶん、それが居心地が良かったのかもしれない。
私のように自らを詮索されないために敢えて聞かないと言うより、ただ聞くに至らないと言った風に取れる。
ラウラなんて私に興味すらないだろう。
救世の神子だから甲斐甲斐しく世話をしているだけだ。
───陛下と王妃が突飛なことを言い出すまではハッキリそう思っていた。
ある日、どちらの仕事もない日。
私は何も告げられないまま、謁見の間に呼び出された。
私が131番目に召喚されてから、丁度3年目の日だった。
「よく来たな。随分と馴染んだようじゃないか」
『見違えるようですわね』
開口一番、仲良く含んだ言い方で出迎えられた。
すっかり覚えた淑女のお辞儀をしたまま、検討もつかない呼び出し理由に頭を巡らせる。
周りには貴族や騎士の男性がズラリ。
いつものように陛下の隣にはラウラ。
何が始まるのだろう。
「面を上げよ」
『御託は要りませんわね。では。皆様に集まっていただいた理由は、この中から救世の神子の婚約者を決めたいと思いますの。神子が永遠に独り身である理由はないわね。希望者は1歩前に歩みでなさい』
私は分かりやすく固まった。
陛下の言葉で頭をあげてすぐの直球主義の王妃の言葉。
婚約者というと、いづれ結婚? え? マジで?
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