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ーー…
鈴宮さんからのお願い事は、
『急で申し訳ないんですが、今夜空いていたら友人との食事に同行してほしいんです』
とのことだった。
どういうことかと言うと、どうやら俺が彼女からの誘いを断ったあの日の夜、鈴宮さんはとある男性からSNSを通じて告白されたらしい。
SNSを通じてと言っても、相手は高校時代の部活の後輩で面識自体はあるそうで、『ずっと好きでした』と言われたのだそう。
俺にフラれたばかりで傷心だったこともあり、その告白を素直に嬉しく感じ、とりあえず彼と食事に行く約束はしたらしいのだが……久し振りに会うのに二人きりだと緊張するから、お互いに知人を一人ずつ連れて行こうという話になったらしい。
しかし鈴宮さんは、前にも彼女自身が話していた通り、人付き合いが苦手でーーこんなことをお願い出来る女友達や女性の同僚が少なく、もちろん全くいないわけではないのだろうが、都合が合いそうな人がいなくて困っていた、とのことだった。
俺としても、その場に同行するくらいで彼女への償いが出来るなら全く問題はない。
一応、翔馬にも一連の事情をメッセージで伝えておくと、『了解でーす!恋のキューピッドしてきてください☆』という返信が来た。
恋のキューピッドをするつもりなどないが、これで気兼ねなく鈴宮さんの事情に付き合える。
そんなわけで仕事が終わった後、鈴宮さんと共に会社近くのとある洋食店へと向かった。
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