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食堂で食事を済ませてから営業室に戻ろうと廊下を歩いていると、通りすがりの給湯室の扉越しに、女性社員達の話し声が聞こえてきた。 「はあ〜、営業課の逸見さんって本当にかっこ良いわよねー」 「かっこ良いだけじゃなくて仕事も出来るし、優しいし!」 「んー、でも逸見さんってオメガなのよね? 私、てっきりアルファかと思ってた」 「二次性別なんて今どき関係なくない? 抑止剤があれば発情期だって抑えられるわけだし」 「だよねー。私も別に、逸見さんがアルファじゃなくていい! 寧ろアルファの人って威圧的でちょっと怖い人多いしさー」 ……大きな声で、俺の噂話をしている。聞かないべきなのは分かっているが、こうも明らかに自分について話されていると、ついつい歩みの速度を落としながら聞き耳を立ててしまう。 女性社員達の噂話は続く。 「顔も性格も素敵なのに、そのうえ御曹司だもん。最高よね」 「確かに。社長もお兄様達も全員、キラキラしていて素敵だしねー。あ、そろそろ戻らないとお昼休憩終わっちゃうわよ」 「あら、本当」 しまった。つい長らく聞き耳を立てすぎた。 俺は女性社員達が給湯室から出てくる前に足早にその場を離れ、彼女達に気付かれることなく営業室へと戻った。
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