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【まあ、そんなに怒るなって。逸見さんも、翔馬のことは大事な人だって言ってたぞ】
「え?」
【仲良くやってそうで安心したわ。今度、三人で飲みに行こうぜ】
「……考えとく。じゃあな」
そう言って通話を切ると、翔馬はスマホをポケットにしまってから再びその場に屈み、俺と目線を合わせる。
そしてーー。
「……電話、聞こえてましたよね? 従兄弟が失礼なことをして本当にすみません。根は悪い奴ではないんですけど……」
「じゃ、じゃあ二人が付き合ってたというのも……?」
「真っ赤な嘘です。俺達はただの従兄弟同士ですし、和希には高校時代からずっと付き合っている彼女がいますから」
「ってことは……」
…….マジでからかわれてただけ……。
「……穴があったら入りたい。あ、とりあえず湯の中に入るか……」
「ダ〜メ。溺れちゃいますよ」
「……何で嬉しそうなんだよ、お前」
「嬉しいですよ。だって巧さん、俺のこと大事な人だって和希に言ってくれたんですよね?」
「!」
その言葉に、自分の顔がブァッと熱くなるのを感じる。
「ち、違う、大事な家族だって言ったんだ!」
「大事に想ってくれてるなら何でもいいです。ありがとうございます、巧さん」
「〜っ」
慈しむような瞳で俺を見つめるから、更に恥ずかしくなり、言葉に詰まる。
中学生じゃあるまいし、ダサ過ぎるだろ、俺……。
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