閉まったはずの遊園地

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「遊園地?」 「おう!何か遊園地のチケット届いてさ、お母さんに見せたら友達と行って来なさいって。深月(みつき)も行くよな?」 「桐生(きりゅう)くんと佐倉(さくら)くん、遊園地行くの!?」 「お、まだチケットあるから美香(みか)も来るか?」 7月。もうすぐ夏休みになるという今日、中学受験を控える僕は塾で勉強していた。少しだけ休憩する為に伸びをしたところで、同級生の桐生(きりゅう)(あきら)に意気揚々と話し掛けられた。 『遊園地に行かないか』と言われて、最初に誘われた僕はまだ返答していないのに、同じ教室に居た江山(えやま)美香(みか)に章は話し掛けられ、1枚チケットを渡す。 「章、僕も行く」 「マジで!?お前勉強ばっかりだから、ちょっと心配してたんだよな」 「逆に章は勉強し無さすぎだけどね」 うるせー、と言いつつ彼は僕にチケットを1枚手渡してくれる。章の手元にあるチケットはあと2枚。1つは章の分だとしても、もう1人行ける事になる。 やがて美香は女の子だからと章は気を利かせて、美香の幼馴染みにあたる楠木(くすのき)(あずさ)に声を掛けに行った。 「楽しみだね!佐倉くん!」 「••••••うん」 を覚えながら、僕は美香に頷いた。
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