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「分かったよ。で? どうすんの?」 「こちらですね。寝て見る夢となりますので、お玄関先でというは厳しいんですよね。ですので失礼ですが、ご体験される場合はちょっと中の方へ」 「上がんの? 家に?」 「はい。突然で大変申し訳ございませんが。もしあれでしたら少しこちらで待たせていただいても構いませんので」 「いや、いーよ別に。分かった。じゃあどうぞ」 「はい。では失礼させていただきます」  そして何故か俺は訪問販売の女性を家に上げた。 「あっ、お綺麗になさっておられるんですね」 「いーよ。部屋の感想なんて。で? どーすんの?」 「はい。まずはですねこちらの二種類からお選びください」  そう言って女性が鞄から取り出したのは、見るからにヤバそうな錠剤。それと何やら脳波を図る時に頭に付けるやつ(コードは無い)。 「こちらをお飲みになるか。こちらを頭の方へ貼らせていただく方かとなっております」 「こんなん貼る一択でしょ。やだよ。訳分かんない奴の持って来た錠剤飲むのなんて」 「かしこまりました。ですがこちらの方、品質管理はバッチリですのでご安心頂いて結構です。ですが今回はこちらという事で」  錠剤を仕舞うと代わりに何やらスマホを取り出した女性は鞄を置いた。 「では、早速始めさせていただきます」  その言葉に少し緊張が走る。あと若干の好奇心も。 「まずはですね。ソファの方へ寝転がっていただいて。もちろんベッドでも構いませんよ」 「いや、ここでいいよ」  俺は言われた通り寝転んだ。仰向けで。 「ではこちらの方、貼らせていただきますね。失礼致します」  傍らに腰を下ろした女性は俺の額へあの丸いやつを二つ貼り付け始めた。そりゃもう丁寧に。 「今回は我々がご用意した夢をご体験していただくことになります」  説明を聞いている間に全てを貼り終えると女性はスマホを手に取った。 「ではよろしいでしょうか?」 「いいよ」 「それでは良い夢を」  女性がスマホへ一度目を落とすと、さっきまで無かったはずなのに段々と眠気が襲ってきた。  そしてあっという間に意識が途切れる。
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