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「はっ!」  勢いよく目覚めた俺はそのまま体を起こし自分の両手を見下ろしていた。戸惑いながらゆっくりと腕を抓ってみる。興奮状態の所為か少ししか感じないがさっきよりは感じた。気がする。 「いかがでしたでしょうか?」  そこには何も知らないと笑みを浮かべる女性の姿。 「――これがあればさっきみたいに自由に何でも好きな事が出来るって事なのか?」 「はい。基本的にはお客様の記憶を基盤に夢を構築していきますが、わが社の装置をご使用になればお客様が知らないような場所へも行けるようになります。どこで何をしようが、それが誰や何であったとしても全てはお客様次第」 「現実じゃ絶対にあり得ない事もか? 例えばドラゴンに乗るとか」 「そのようなプランをご契約なされば可能です」  俺は額から装置を外すと見下ろしさっきの夢を思い出した。体験したことも無いような興奮。たまに見る明晰夢がこれからは自由自在。  俺は顔を上げて女性を見遣った。 「しよう。契約するよ」 「ありがとうございます!」  数日後に借夢社から商品が届いた。専用のスマホとあの装置(錠剤もあるがこっちにした)。使用は簡単。装置を着けてスマホで開始ボタンを押す。色々な設定とか世界観をダウンロードして事前に設定するばそれが見られる。  あの日は体験という事で睡眠効果も入ってたらしいがそれ抜きでも大丈夫だとか。もし眠れない日は別で睡眠効果を購入し一緒にセットすればすんなり眠れる。  それから俺は眠るのが楽しみになった。ずっと夢だった事をしたり、憧れの人と会ったり、ラ〇ュタへ行ったこともある。俺は夢を思い通りに見ては自由自在に動きしたいことをし続けた。毎晩のように。
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