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俺が仕事をしていると突然、デスクを振ってきた手が叩きつけた。
「頼んでおいた仕事はまだ終わってないのか?」
そこには部長が立っていて頭に響く怒声を上げている。あー、イライラする。いちいち蠅みたいにうっさい。聞いてもいない説教をネチネチと続けやがってる。
――はぁ。
正直、我慢の限界だ。
俺は両手でデスクを力一杯叩き、立ち上がった。その音に社内が一瞬にして静まり返る。あの部長でさえも。
「な、なんだ。なんだその態度は!」
だがまたしても口を開けばうざったい声。
俺は部長の方を向くと無言のまま、普段のストレスで拳を固く握りしめた。そしてその見るだけでストレスの溜まる顔へ振り下ろす。
「キャー!」
一瞬の静寂の後、女性社員が叫んだ。
辺りがざわめく中、俺は更にもう一発。更にもう一発。怒りをぶつけ続けた。
……。
『夜のニュースです』
『本日午後二時半頃――』
『突然、暴れ出した男は上司の男性を何度も殴りつけ――』
『現在、意識不明の重体と――』
『男は現行犯逮捕され――』
『夢の世界などと意味不明な――』
『薬物使用の恐れが――』
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