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死の乙女
荘厳な神像。
ステンドグラスから差し込む七色の光。
儚く揺れる蝋燭の火。
そこは、どこにでもあるような教会だった。
横たわる無数の人間と亡骸。
立ち込める血の匂いと腐臭。
苦悶に満ちた呻き声。
そこは、もはや教会ではなかった。
二つの大国がぶつかり合う激戦地。
その最前線にほど近い教会は、大勢の負傷兵を抱える野戦病院と化していた。
来る日も来る日も後送されてくる負傷兵を従軍医師たちが、教会の修道女たちが治療している。
助かる命もあれば、助からない命もある。
見込みのある命もあれば、見込みのない命もある。
それでも彼らは懸命に治療を施し、死にかけた者を救い、救えなかった者を埋めていった。
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