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「ねえ、ヤスって軽くない!?」
「だよね~!あれはやめといたほうが言いかもよ」
キャンパスの坂を足早に二人は歩いていた。
ナミは先程とは打って変わって顔を真っ赤にして怒っている。
「明日二人っきりで会おうと思ったのに!」
と悔しそうに唇をかみしめる。
「ああいう現場に立ち会えて、本性見たね」彼女の友達はかえってよかったと言わんばかりだ。
「ま、待って下さい!」
ナミが振り返ると先ほど一緒にいたマネージャーが息を切らして追い掛けてきた。
「私達そんなじゃないんですよ」
彼女は真っ直ぐナミを見て言った。
「そうじゃないんです!せっかく一生懸命やってくれた先輩に申し訳なくて、とにかく誤解です!」
二人はびっくりして目を見開き彼女を見つめた。
「ヤスさんは私が提案したかき氷をノルマまで売ってくれたんです。それが嬉しくて感謝してますって意味で手を取ってそれであんな感じになって」
雪絵は先程の勢いはどこへ行ったのかうつむき加減に顔を赤くしている。
「そうなんだ。ヤスは後輩思いだね」
本気でそうは思わないけど恥ずかしそうにわざわざ来るのだから後輩に慕われているようだ。
「だからヤス先輩を嫌いにならないで下さい」そういうと来た道を慌ただしくパーっと帰って行ってしまった。
「何あれ?変なやつ」とヒロミ。
「そうかな?ヤスのやつ、慕われてるじゃん」とナミ。
「本気でそう思ってるの?」とヒロミは呆れてしまった。
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