心音高鳴る

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俺の彼女の名前はシャウラと言う。 一か月前に、バーで知り合って付き合い始めた。シャウラの方から告白された。 シャウラはとんでもない美人だった。可愛いというのではなく、美人。吊り上がった、ガーネットのような色の瞳と、真っ赤な長髪、細い手首と足首、たわわな胸。何処をとっても完璧な女性だった。彼女に交際を申し込まれて、冴えないコソ泥に過ぎなかった俺の生活に、ようやく日が当たったわけだ。 シャウラは直ぐに俺の家に住むようになった。料理も出来る女だった。ベタならが、シャウラは何時も裸にエプロンを着けて、俺を誘って来た。 シャウラに過去を聞くと、シャウラは三歳で親に捨てられ、苦労して来たという。俺も親がなく、皆から差別されて来たので、シャウラの気持ちが良く分かった。  ある日、シャウラが御馳走を用意して、待ってくれていた。シャウラが作ってくれたのはローストビーフだった。高級な赤ワインも入って、俺の隣の席に座り、色々な話を聞いてくれた。  シャウラは、折を見ては俺の頬に触れ、髪と太腿を撫で、やがてゆっくりと首を倒すようにしてキスをした。俺の胸は高鳴った。唇が離れてもドキドキが止まらない。視線が合っただけで―― いや、何かが妙だ。 流石に、シャウラが美しいからと言って、何の皮膚への刺激もなくなった状態で、突き上げるような動悸が続く訳がない。俺は胸を押さえた。胸が爆発しそうなくらいにドキドキと脈打っている。 俺はそのままフローリングの床に倒れ込んだ。
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