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「ところで君、なんでもするって言ったよね?」
ふたたびカゲに詰め寄ったジルベールが微笑んで言う。美しさは、時として圧になる。
「な・ん・で・も?」
よーく伝わるよう、一語一語を区切って言って聞かせると、カゲはひれ伏すかのように頭を垂れた。
ジルベールは見た目に反して弁が立つ。というより、そういった振りに長けている。つまりは演技だ。
ありったけの賛辞と並べ立て、「君にすべてが懸かってるんだ」と期待を寄せる。
事実、カゲにしか頼めないのだ。
「絶対にしくじったりしないって、僕に誓える?」
「もちろんでございますよぉ! ジルベール様ぁっ!」
カゲの返答に満足したジルベールの薔薇色の唇が大きく弧を描く。
「君に最大限の感謝を、カゲ。楽しみにしているよ」
こうしてジルベールは安心して母国・イギリスへ戻ることができた。
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