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明けて朝、この日もジルベールはハナに癒やされていた。
いつもより優しく念入りに「ぴんく、ぴんく。あんよ、あんよ」と唱え、奇妙な夜の出来事を話して聞かせる。
そして、また妙なことが起こった。
301号室のテーブルに覚えのないサプリメントの袋が置かれていたのだ。
アルミパウチの袋には「ノコギリヤシ」の文字。
だが、カナも漢字もまだ堪能ではないのでこの袋が何なのかまるで分からないのだ。
今回はお忍びでの来日のため、追っかけがくるはずもない。確認したが、玄関の鍵もしっかり施錠されていた。
「お嬢さん、ご存知で?」
ハナが首をかしぐのでジルベールも彼女に倣う。……やはり彼女も知らないようだ。
「うーん……盗聴器とか隠しカメラとか調べたほうがいいな」
台本の読み上げもあるので、出演作の前情報がSNSに流れでもすれば大事になる。
悩ましいジルベールは、またハナを「ぴんく、あんよ、ハナチャン……」と愛でていた。
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