Sogni d’oro ~ 黄金色の甘い夢 ~

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 彰人の帰宅を待つハナは飼い主の姿を見つけるなり急いで家に戻るのだが、この日ばかりはジルベールから「送らせてくれないか?」とお願いをした。  怪しいサプリメントのことを知る必要があるし、彰人は日本人なので、これが何なのかも知っているはずだ。それに近くに大型の家電量販店があるか聞きたい。  人混みは避けたいが、背に腹は替えられない。盗聴器と隠しカメラの有無は早急に確認しなければならないだろう。  ハナを抱き上げ、ジルベールは205号室をめざす。2階でエレベーターを降りると、昨夜の女性と行き合った。  彼女はハナが205号室の()()であることを知っている様子で、ジルベールとハナの組み合わせに目を丸くする。 「昨日の……?」 「この()をお(うち)に送るんです」  彼女の表情が(いぶか)しげになったので、すかさず笑顔で答えた。すると「あぁ、そうなのね」と納得してくれたらしい。 「あなた、ずいぶん綺麗な()()()()と仲よしなのね」  彼女がハナに笑いかけるところで、ジルベールの唇の端がややひくついてしまう。いやいや、ちょっと待て?  幸運なことにこの顔が整っていたとしても、性別を(たが)えられるのは未だに複雑な気分になる。  たとえ"母がそのまま張りついたようなこの顔で損をしたことなど一度もなかった"としても。 「あっ、僕は男です」 「ジルベー……えっ?! マーレイ?!」  ジルベールが遠慮がちに明かすと、彼の正体まで明らかになってしまった。  彼女の驚きはいっそう大きくなり、ようやく見つけ出せたらしい家の鍵も廊下に落としてしまう始末だ。  鍵の落ちた音が妙に響いた……
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