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少年の頃のジルベールとともに愛欲に溺れたくせに同じ泥舟には乗ってくれなかった。
こんなふうに言うと恨めしげに聞こえるだろうが、相手にしてみれば、まあ当然のことである。
鳴り物入りの子役に、寂れた街のいち娼婦。二人の世界はあまりに違いすぎた。
彼らにとって――とりわけジルベールには――混じりっけ無しの恋以外の何ものでもなかったが、許されるはずもない。
ジルベールは当時十三歳の少年で、彼女は二十歳の女の子だ。彼は今になってようやくあの頃の相手の年齢に追いつけた。
やがて法律が暴きたてた二人の関係は、警察により、恋人でなく『対児童淫行法』として処理された。ジルベールは一貫して悪夢を見た被害者として扱われたが、実際はそうではない。
初恋だった。
本当は、七つ年上の女に窮地を救われたのが出会いだったと言っても誰も信じはしないだろう。
もし不用意に口を開けば、彼女の身に危険が及ぶ。ジルベールが現在の彼女の居場所を知らないとしてもマスコミは突き止めるだろう。
そして娘のクラーレットに出会ったのは、もう少し後のこと。
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