Sogni d’oro ~ 黄金色の甘い夢 ~

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 301号室に戻るジルベールの黄金の髪を夜風が撫でつける。陽が落ちたあとの風は一段と気持ちがいい。  確かにジルベールは()()()()()()「いい夜だ」と思っていた。  もはや日課同然となっており、ジルベールはまた吸い込まれるようにベランダに出た。夜なのでアルファ・ビルヂングの玄関先に掃除をするヒロの姿はないが、その代わりに小さな黒いかたまりがいる。なんだろうか?  ジルベールは珍妙なものを見た。  小さな黒いかたまりは宙に浮いていて、ジルベールは「飛んでる?」と首をかしぐ。  鳥にしては形がふんわりしていて、おまけにギザギザしている。ますます正体が分からなくなったところで、ふいに小さな黒いかたまりがキラッと光る。  ジルベールの口だけが「えっ?」と動いたのも、また一瞬。小さな黒いかたまりは彼めがけて飛んできた。  青い双眸(そうぼう)がこれでもかというほど驚きで丸くなる。思いのほか鋭い爪がジルベールの額を直撃して、薔薇色の唇が(いびつ)(ひら)いたと思えば、その端正な顔だちには到底似つかわしくない濁った叫び声が上がった!  目が合ったのか、今。  間の抜けな顔をした彼に、小さなかたまりがニヤッと笑った。 『お前の血なんか、絶っっっ対吸ってやんない!!』
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