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素っ頓狂な声を上げた私に、小柳さんは淡々と説明を加える。
「僕の想い人が、設楽を想っているのです。ま、よくある三角関係です」
よくあるんですか? それ。
恋愛方面に疎い私にとっては、漫画やドラマ以外でお目にかかったことがない。
というか……私以外に灯也さんを想う女性がいる可能性自体、今まで全然考えたことがなかった。でも、よく考えたら不思議でも何でもない。
灯也さんの身長は高く、大人の色気と少年っぽさをの両方を兼ね備えた美形な顔立ち。設楽ホテルズグループの副社長という地位にふさわしい、知性と行動力がある。
なにより、ふと垣間見せる優しさに、私は何度も胸をときめかせている。
そんな魅力的な人だもの。他の女性だって、放っておくわけがない。
今さらながらそんなことに気付き、胸がちくっと痛んだ。
「ですから婚約者なんて立場では危ういので、さっさと籍を入れてしまってください。なんなら子どもを作ってくだされば、なおありがたい」
私の浮かない表情に気付いたらしい小柳さんが、勝手なことを言い出す。
な、何を言うのこの人は……。そんなのかなり先の話です。
子どもは愛の結晶だなんてよく言うけれど、今はまだその愛を育んでいる最中なのだから。
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