蝉詠

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 山の入り口。ふと足止める。  蝉がひとり。鳴きながら飛び。声と共に落ちた。  夏終演を告げ。御霊ごと去っていく。  (しば)し屈んで。彼を看取る。  背を風が通り。日が(あか)く落ちてきた。  立ち上がる。  蝉達の在世歌を背に受け。山を降りた。                                了
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